ALDEN AF2
オールデンの歴史に刻まれた隠れた名作、AF2。
流通量も限られ、話題になることも少なく、AF1のその華やかさに比べると少し地味な存在にも見える。
しかし初期のマホガニーコードバンを身に纏い、最大限の装飾を施したフルブローグ、そしてオールデンでは珍しい内羽根。仕上げはアバディーンラストとこれ以上ないドレス仕様で仕立て上げられている。
実力だけで見ればAF1をも凌駕する存在であろう。
音楽で例えれば華やかなAF1は誰もが知っていて絶大な人気を誇ったリスト、AF2は実力がありながら苦悩に満ちた人生を送ったシューマンのような存在ではなかろうか。
そんなAF2が我が家に仲間入りしたのは数年前。
誰も見向きもしないアメリカの小さな街からやってきた。
古く埃をかぶった楽譜のようにも見えたが、少し音を奏でてみればそれは確かに美しいマホガニーコードバンだった。
初期のマホガニーコードバン
オールデンの歴史上、マホガニーコードバンが使われた時期は2つ。
ひとつはAF1、AF2そしてカスタムオーダーで作られた初期マホガニーコードバン。
そしてAC-2で歴史的復活を遂げた現代マホガニーコードバン。
それぞれとても美しい。
現代マホガニーコードバンは煌びやかな色合い。
初期マホガニーコードバンはしっとりと品位のある色合い。
この辺りもシューマンの作品そのものではないか。
妻クララを愛し、愛されたシューマン。
彼の死後、クララの尽力があり彼の実力が世に認められたのはご存知の通りだが、この記事が少しでもAF2の素晴らしさを伝えることが出来たならば、これ以上ない喜びである。
次ページ以降、AF2の素晴らしさを写真と共にお伝えしたい