久しぶりの僕の愛するオールデン
Alden Styleというブログだけど最近オールデンの紹介記事が少ない。
理由はいくつかあるけど、オールデン以外にも好きなものがたくさんあるという点、それからオールデンの記事はまとまった時間が取れるときに書きたいという単なるわがまま。そう自分では分析している。
最近はブログに向き合う時間がなかなか取れないけれど、今日は東京に台風が直撃するみたいだし、明日の朝は首都圏のJR全線が運休ということなので、久しぶりに僕の愛するオールデンを書いてみる。
僕は旅行や仕事や人生もざっくりとした目標は立てるものの、細かくて綿密な計画は立てない。この環境変化が激しい時代、たとえ綿密な計画を立ててもすぐに変更する必要が生じてしまう。細かすぎる計画は意味がない、とまでは言わないが少なくとも僕の性分には合わない。
それよりはその状況に応じた柔軟で臨機応変な判断ができることの方が重要なのだ。
ブログの書き方も全く同じ。
久しぶりの僕の愛するオールデンだからすごく長くなるかもしれないし、あっという間に終わるかもしれない。
それは書いている僕自身もわからない。
目に付いたクラシック音楽のアルバムに針を落とし、キーボードが勝手に妄想の世界へと導いていく。
さあ、というわけで久しぶりの僕の愛するオールデン、Let's get started である。
僕の愛するオールデン
ALDEN Cigar Cap Toe Boot
これまで数多くのオールデンを手にした僕。もはやちょっとしたオールデンでは驚かなくなってきている。だから感激をそのまま記事に落としていく営みが減っているのは致し方ない。
しかしながら、このシガーキャップトゥの美しさはどうか。このブーツで筆を取らずにどの靴で何を書くというのだ。
グラントラストのキャップトゥブーツというオールデンが誇る黄金比。
グラントラストはラコタハウス丸の内店で最近扱い始めたラスト。
日本では歴史も浅いが、グラントラストのキャップトゥブーツは世界では言わずと知れた非常に有名な組み合わせである。
この完成され過ぎたシルエットは他のオールデンの追随を許さない。
そして、一番使い勝手が良いシガーコードバン。
ブーツにしてこれほど色気がある革も他にはないだろう。
特に向かって左、すなわち右足の革の品質がずば抜けている。
まるでラベロコードバンのような色合い。ウイスキーでも通用するような品質の高いコードバンをシガーのような濃い色に染めるとこういった色ができると言われている。
子供の頃、山にクワガタを取りに行った。ノコギリクワガタがカラー8コードバンだとすると、このシガーキャップトゥはミヤマクワガタだ。深山の名の通り、深い山にしか存在せず、僕が子供の頃でも貴重なクワガタだった。美しい深山クワガタの色合いとそのフォルムに夢中になった小学校4年生の夏。
果てしない時を重ねて大人になった今もこの美しいコードバンに夢中になれる。
深山クワガタの希少性と美しいフォルム。
シガーコードバンの希少性とグラントラストの美しいフォルム。
それを手にした昂揚感でしばし時を忘れることが出来る。
そんな大の大人を惑わす色気を放つこの靴が
実は世間から見放され、市場では使い物にならない烙印を押された代物だったとは。
そんな不条理な物語。
いや、逆だ。
すべてはこの烙印。このしるしのおかげだ。
本当の美しさと清らかな心を持ちながら、人目に触れず、誰の手に触られることなく、僕のところに来ることができた。
これまで数多くのオールデンを手にした僕だからこそ、このしるしに、世間が見放したこの烙印に、一切惑わされることなく、君の本来持つその美しさで判断することができるのだ。
そんな僕の愛するオールデンの物語。
そう、深い山で生まれた美しく、清らかな心を持ったこのオールデンは、オーナーの深い愛情に包まれながら、いつまでも、いつまでも優しく育まれていくのである。