ラブリーインディー
オールデンの代表作。ブーツの中ではもっとも有名であろうインディーブーツが素敵すぎるのだ。
通常モデルはオースティンカーフを使っているがこのモデルはカラー8のコードバンを使ったもの。
どうしてこれほど心惹かれるのか考えてみた。
武骨なブーツに美しいコードバンの輝き。
この相反するモチーフを同時に表現し、最高傑作を生みだした作品がインディーのコードバンモデルだ。
”相反するモチーフ”を”同時に表現”し”最高傑作を生みだす”
何かに似ていないだろうか。
そう、マーラーの音楽そのものだ。
マーラーのシンフォニーは相反するモチーフが同時に出てくる。
正当なドイツ音楽、ベートーヴェンやブラームスなどの由緒正しい交響曲を聴いている耳には正直 discomfort な音色に聴こえる。
しかしながら多くの人がそうであるように、これまで聴いたことのない感覚が病みつきとなり、マーラーの音楽の泥沼にハマっていく。
そう、それは最初にオールデンを見た時の discomfort な感覚から泥沼にハマっていくのと全く同じである。
実はマーラーが指揮者として初めて成功したのは19世紀末の1884年。驚くべきことにオールデンの創業と時を同じくしている。
更には、マーラーが極めて高い評価を得たのは彼の没後、1970年代以降だ。カラヤンがマーラーのシンフォニーを初めて録音したのが1973年。その後カラヤンに師事した小澤征爾もマーラーを多く指揮し、1970年代以降マーラーは一気にブレイクし、今日に至るまでマーラーの高い評価が続く。
そしてオールデンが初めて日本に上陸したのは1979年。ブルックスブラザーズのコードバンペニーローファーがきっかけでオールデンは一気にブレイクし、1970年代以降今日に至るまでオールデンの高い評価が続くのはご存知の通りだ。
インディーブーツのコードバンモデルという二つのモチーフを同時に実現したオールデン史上の最高傑作、それはマーラーのシンフォニーにつながり、マーラーは結局オールデンの歴史に帰結するのである。
僕は文章を書くときにあらかじめ何を書こうと決めていない。
写真を見てインスピレーションのまま、自分の深層心理の中に入り込んで筆を進める。気分によって、くだらない記事や真面目な文章、今回のようなわけのわからない文章にもなり得るのはそれが理由だ。
わけのわからない文章。でも僕は結構気に入っている。